専門医のパニック障害治療の診断と治療


  医学の進歩は様々な病気のyを解明し、その治療法を生み出してきた。精神疾患の分野も例外ではない。第3回日本不安障害学会市民公開講座では、パニック障害治療をめぐる最新の研究成果が発表された。

・不安障害の脳内メカニズム
不安とは本来恐怖を感じて危険を避けるための大切な機能ですが、不安が不適切に生じたり、日常生活に支障を来すほど頻繁に起きたり、長く強く続く状態は病的であり、不安障害と見なします。パニック障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、社会不安障害などがあり、これらは併発することも多く、いずれも脳内の扁桃体の関与が指摘されています。
正常な場合、ストレス反応は制御されますが、不安障害では扁桃体が過活動のまま抑制が利きません。そしてこのストレス反応が新しい感覚情報としてさらに扁桃体を活性化し、発作が止まらなくなったりします。
パニック障害の患者さんは、扁桃体の体積が小さく、同じ部位のグルタミン酸という興奮性アミノ酸が上昇する、あるいは前頭葉で血流が低下している、PTSDでは記憶に関係する海馬の体積が小さい――などの特徴が解明されています。

・パニック障害の認知行動療法
パニック障害では病気のつらさを他人に理解・共感してもらう「受容」が大切です。さらに、自分の考えや行動を変えてみる「変化」も同様に重視するのが認知行動療法。治療方法や効果が分かりやすく、薬物療法と同等の有効性が医学的に実証されていることから、薬物療法と併せて行える、今注目の治療法です。
認知行動療法には、考え方を変える認知療法、避けてきたことをやってみる行動療法、不安を正常な範囲まで小さくしていきます。
認知行動療法では不安を段階的に慣らしていきます。2種類の療法があり、1つは電車に乗れないといった不安(恐怖)に対し、目標を立て、身近なところから少しずつ練習し、自信を積み上げていきます。もう1つは息苦しいといった身体的な不安に対し、それが本当に怖いことなのかを実際に体験しながら、不安が低下していくのを確認します。
このように認知行動療法は、患者さん自身が身につけることができる治療法です。

・パニック障害の生活療法
パニック発作が起きたときはまず、あわてず騒がず、腹ばいになるか航空機内で取るような前屈姿勢を取ること。こうすると自然に腹式呼吸になり、過呼吸を起こしません。
パニック発作は、発作が発作を起こしやすくします。定期的に薬を飲んで、まず発作を完全に阻止することが大切です。多少改善したからといって、自分で薬の量を加減するのは禁物です。
睡眠不足や過労、風邪もパニック障害を悪化させますから、睡眠をよく取り、規則正しい生活を送ることが大切です。
運動することは薬と同じくらい効果があります。連動すると、脳内で不安や鬱と関係する悪玉セロトニン受容体が減り、脳由来神経成長因子が生成されるので、海馬の神経細胞の新生を促し恐怖記憶を減少させます。
こうした努力を続ければ、パニック障害は必ずよくなります。この病気にかかり、より充実した人生を送った著名人がたくさんいます。